イラク、アフガン作戦派遣の自衛隊員に何があったのか
イラクの人道復興支援や、アフガン作戦の海上給油に派遣された自衛隊員が、昨年10月までに35人も亡くなっている。半数は帰国後の自殺だ。病死も多い。戦闘をしなくとも、激しい恐怖が心身を蝕んでいたのだろう。
21日の産経新聞によると、政府・与党はアフガニスタン本土での新たな米軍支援活動を検討していたが、断念したようだ。現地の治安悪化があまりにも深刻だという。
いかに屈強に見えても、若い自衛隊員の心は思ったより脆い。食べる心配も、命の危険もほとんど感じない環境で育ってきたのだ。イラクやアフガン行きは、災害救助など国内の活動とは次元の違う任務だ。
陸上自衛隊が駐屯したサマワは「非戦闘地域」とされていても、武装勢力による襲撃の恐れは常にあった。いかに訓練していても、実際に命の危険をともなう場所に身を置くことは、異常な緊張を強いられる。
しかも、サマワ郊外でも、米軍が劣化ウラン弾を使用したことが明らかになっている。劣化ウランが燃焼し、飛び散った微粒子が環境を汚染すると、被曝や毒性による人体への悪影響が懸念される。当然、こうしたものへの恐怖感がなかったとはいえないだろう。
自衛隊員35人の死は、国会の公文書に記載されている事実だが、意外に知られていない。昨年11月30日に提出された社民党、照屋寛徳議員の質問主意書に対する政府答弁を下記に要約した。
「テロ対策特措法、イラク特措法に基づき派遣された隊員のうち、在職中に死亡した者は、陸・海・空の自衛隊で、合計35人。うち16人が帰国後に自殺した。自殺場所は自衛隊施設内が5人、それ以外が11人。このほか、病死7人、交通事故6人、転落1人、溺死1人、その他不慮の事故2人、死因不明2人である」
事故死はともかく、気になるのは自殺と病死の多さだ。病死の場合、病名が公表されていないので、伝染病なのか、劣化ウランが関係しているのか全く分からない。いずれにせよ、派遣された当時は人並み以上に元気だった人たちだ。年齢からみて急死といえるだろう。
自殺者の場合は、異常なストレスからうつ状態になったことが考えられる。アメリカでもイラクから帰還した米兵の3割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神疾患の症状を訴えたという報道があった。
なぜか自衛隊員に多重債務者が多いことも気にかかる。それがうつ病につながるケースもあるようだ。外地で長期間、強いストレスを受けたあげく、帰国して誰にも相談できないまま多重債務に苦しむようだと、精神的に参ってしまうかもしれない。
イラクから元気に帰国し、家族と喜びの再会を果たした自衛隊員のその後に、過酷な運命が待ち受けているとは、テレビを観ている限りでは想像もできないことだった。
35人もの自衛隊員の死は、筆者の知る限りではマスメディアに報じられることはなかったように思う。


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