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2008年7月 5日 (土)

感動のベタンクール救出劇に米国の仕掛け

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コロンビアの左翼ゲリラ組織に誘拐されていたイングリッド・ベタンクールさんらが救出された。元大統領候補で、フランス国籍を持つ世界で最も有名なコロンビア女性は、実に6年ぶりに自由の地へ戻り、母親や子供たちと再会したのである。

コロンビアのサントス国防相は鼻高々だった。「軍特殊部隊の作戦によって救出した」。

ゲリラ組織内部に工作員を送り込み、偽装した軍のヘリコプターにベタンクールほか15人の人質を乗り込ませて、機内で初めて「あなた方は解放された」と告げたという。歓喜につつまれる機内、あふれるうれし涙。感動的な筋書きである。

ところが、スイスの公共放送局「ラジオ・スイス・ロマンド」は、信頼できる筋から入手したとして、コロンビア軍の発表とは異なる情報を流した。

実はFARCに約2000万ドル(約21億3000万円)が支払われたというのである。しかも、取引には米国が関与しているとか。

たしかに、あまりにも鮮やかすぎる救出劇だった。これまでにフランス政府も救出作戦に乗り出したことがあったが、失敗に終わっている。そう簡単に騙される相手とも思えない。しかし米情報機関などがかかわり、周到な準備がおこなわれたとすれば話は別だ。

コロンビアといえば、世界最大の麻薬消費国アメリカに、コカインなどのドラッグを密輸し続けている麻薬カルテルの巣窟である。パブロ・エスコバル(故人)は、麻薬で米ビジネス雑誌に載るほどの大富豪になり、ドキュメンタリー映画さえ製作されたほどだ。

米国は麻薬対策費という名目で毎年、何十億ドルもの経済支援をおこない、コロンビアを、左傾化が進む中南米における親米の砦としている。しかし、コロンビア軍がFARC掃討に躍起になるあまり、今春、中南米を震撼とさせる事態が起きてしまった。

エクアドル領内に潜むFARCの一団をコロンビア軍が空爆したのである。当然、エクアドルのコレア大統領は「いかなる理由であれ外国軍がわが国内で軍事行動を起こすことは正当化できない」と怒り狂った。

反米の旗手、ベネズエラのチャベス大統領も「黒幕である北アメリカの帝国と、その家来であるウリベ大統領がわれわれを分断することは許さない」と、いつもの激しい調子で罵った。

エクアドル、ベネズエラに続いて、ニカラグアもコロンビアと断交するなど、情勢が一気に緊迫したが、米州機構がコロンビアの行動を「国際法違反だ」と決議し、コロンビアが謝罪したことで、事態は収拾に向かった。

実は、このころFARC内部で重大な状況変化が起きていた。それを米情報機関は見逃さなかったようだ。

FARCの創設者マヌエル・マルランダ最高司令官が3月26日に病死。エクアドルへの越境攻撃で、ナンバー2のラウル・レジェス司令官も死亡していたのだ。

最高幹部の死亡による組織の弱体化を見抜いた米情報機関が、相手方が動揺していたそのタイミングをついて工作を仕掛けたのではないだろうか。

もちろん、公式にはサントス国防相が発表したように、コロンビア軍特殊部隊の作戦が大成功したということになるのだろう。彼らは一銭のカネも動いてないと言い切っている。

「感動の救出劇」のままにしておいたほうがいいのかもしれない。しかし、身代金が支払われたとする「ラジオ・スイス・ロマンド」の報道に筆者はリアリティを感じる。米国にしても、エクアドルにいつまでも火種を残しておきたくはなかっただろう。

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