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2008年7月18日 (金)

経済急ブレーキの中国と、不安だらけの五輪

三週間後に迫った北京オリンピック。観戦ツアーの売れ行き不振に旅行会社が焦り、環境や食事を心配した選手団は合宿を直前まで日本や韓国でおこなう日程を組むなど、開催前から神経をすり減らしている。

選手村の食事のレシピも、日本人の口には合わないようで、そのうえ空気は汚れ、水や電力不足の問題もあって、とにかく「何が起こるかわからない」。競技より、大会中のストレス対策のほうが大変かもしれないのだ。

五輪の成功を至上命題としてきた中国だから、なんとしても恰好はつけるだろうが、問題はそのあとだ。これまで中国の景気を後押しした五輪需要がなくなるのだから、反動が怖い。現に「五輪後の個人消費が心配」という声が、外資系スーパーの関係者から出ている。

今朝の日経新聞によると、中国国内の大手スーパー各社の売上は前年比10%増で推移しているが、これは物価上昇によるもので客数は伸び悩んでいる。すでに米国のサブプライムショックで輸出は大きく減速、株価の大幅下落もあって、今後の頼みのツナ、個人消費もアテにならないとなると、成長に急ブレーキがかかってしまう。

北京五輪は、多くの中国国民にとって長い間待ち焦がれた夢のイベントであり、かつて日本人が東京オリンピックに熱狂したのと同じ興奮が会場を包むだろう。

しかし、決定的に違うのは、「世界で一番成功した社会主義国」といわれた“一億総中流”時代の日本で東京五輪は開かれたということだ。お茶の間にテレビが普及し、大半の国民が希望と夢を抱いてオリンピックを楽しんだ。

今の中国は数字の上では、目覚しい成長を続けているが、実態は数パーセントの国民が富の半分を独占し、多くの人々が失業と貧困にあえいでいる。「共産主義の理想」と真反対の状況だ。

国内のあちこちで、行政や司法に対する不満が噴出し、毎月数百万人がデモや騒乱に加わっているといわれる。

北京には、地方から中央政府に直訴する人の流れが押し寄せ、野宿したり簡易宿舎に泊まって、政府関係者との接触をはかる機会をうかがっている。しかし、五輪を前に、騒乱や抗議行動の芽を摘み取るため、直訴者を警察が根こそぎ摘発し地方に送り返しているのが実情だ。

オリンピックの興奮からさめた中国に、経済の減速という現実と、不満や怒りだけが残るとすれば、胡錦濤の指導体制が揺らぎはじめる懸念も払拭できないだろう。

今後の中国は経済、政治リスクが顕在化する可能性が高い。世代の交代がもたらす社会変化も将来的にはあるだろう。

産経新聞の伊藤正中国総局長は、「80後」と呼ばれる1980年代生まれの世代の特性を「一人っ子政策の申し子で、国家や社会への使命感が希薄だ」と書いている。

男女関係が乱れ、ひ弱で、犯罪も多い。西側文化の影響が濃厚で、お上や親からの干渉を嫌う。こういう若者の傾向は日本も共通する。

「青年達はネットを通じ、情報統制の壁を破り価値観を共有、しばしば批判の矛先を党や政府に向ける」とも伊藤は指摘する。

グローバリズムとネット社会は、人間の感性の共通化も進めるだろう。翻訳ソフトがある程度のレベルにまで発達すれば、世界中がネットでコミュニケーションできる。そういう時代になると、独自の国家体制の維持はますます難しくなる。

                       (敬称略)

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コメント

■[ちゃいな.com]中国総局長・伊藤正「80後」は中国を変えるか―は正しくない。正確には「80後」の一部、それも少数派が中国を変える
こんにちは。最近中国でも「80後」に対する期待が高まっているようですが、残念ながら中国の社会科学の遅れからいまだ正しい分析をするにはいたっていないようです。わたしは、社会学者ではないし大学で社会学を専門で学んだわけではないですが、この分野における中国の遅れは私でも認識することができます。「80後」などと、一つの世代をひとくくりにして、物事を考えたり、分析したりすることは初歩的な誤りです。私は、「80後」をいくつかに分類して考えるべきだと思いますし、実際私自身も分類してみました。この分類が役に立つのかどうかは、いまだなんともいえませんが、これを土台に付け加えたり、改良したりして将来の中国でのマーケティングなどに役立てたいと思います。ここでは、長くコメントできませんので、詳細は私のブログを是非ご覧になってください。


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