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2008年8月 7日 (木)

政界をめざした元エリート官僚が沖縄の海で最後に想ったことは

沖縄のビーチに男性が仰向けになって浮いていた。6日朝、サンゴの欠片でできた白い浜辺は太陽に輝いていた。波打ち際から10mの地点で監視員に発見された男性は、病院で死亡が確認された。

家族と海水浴を楽しんでいたというこの人の名は、持永哲志。48歳。昨年1月、東国原英夫と宮崎県知事選を戦い、大差で敗れた。東国原に副知事起用を打診されたが、県民の反発で実現しなかった。その後、彼に関する情報は途絶えた。ホームページは「カミング・スーン」のまま放置されている。

おだやかな海で、男盛りの彼の身に何があったのか。警察は溺死とみて死因を調べているというが、正直なところ筆者は自殺という疑いも捨てきれない。

持永は東大法学部を卒業し通産省(経産省)に入った典型的なエリートだ。在職中にジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)に留学。経産省で産業技術環境局技術振興課長を務めたが、2003年11月の総選挙に父、持永和見の後継として出馬したことが、挫折知らずだったその運命を大きく変える。

当時、宮崎3区は、父の和見と、堀之内久男という二人の自民党議員が引退。その後継として持永哲志と古川禎久が立候補した。自民党は公認をどちらかに絞ることができず、二人を推薦する形で選挙戦に突入。当選した古川が自民党に追加公認された。

この選挙で持永の進撃の歯車を微妙に狂わせたのは、民主党との関係だった。通産省時代の同僚だった当時の民主党代表、岡田克也から公認の打診を受けていたが、後援者が自民からの鞍替えを許さなかった。

このときの迷いは、支持者の結束をゆるめ、選挙結果に影響したと思われる。

2005年の郵政解散後の総選挙で、幸運がめぐってきた。古川が郵政国会で造反したからだ。晴れて公認を得て戦った持永だったが、無所属の古川にまたも敗れるという衝撃的な結果に終わった。これは、持永のイメージを傷つけ、後援会組織の弱体化につながっただろう。

そして迎えた2007年1月の宮崎県知事選。自民党・公明党推薦で出馬し、またも落選。東国原の特異な人気があったにせよ、自民党本部が候補者としての持永に対する認識を大きく変えたことは想像に難くない。

東大、経産省というエリートコースを歩んできた政治家二世の三度にわたる敗戦。その挫折感は、いかばかりだっただろう。

父、持永和見も順風満帆の政治家人生だったとはいえない。薬害エイズ事件当時の厚生省薬務課長だったからだ。かつての薬務局長、松下康蔵が社長として天下った旧ミドリ十字との癒着が批判された。社会保険庁長官を経て、1986年から5期連続で衆院議員をつとめたものの、選挙のたびに薬害問題への責任を指摘され、逆風を浴び続けた。

その点、息子の持永哲志の経歴には文句の付けどころはなく、父は大きな期待をもって76歳で引退、哲志を政界に送り出した。哲志は父の地盤を受け継ぎ、立派な衆院議員に成長するはずだった。

宮崎県知事選の敗戦ショックから立ち直る間もなく、近く政局は動き出し、早ければ今秋にも総選挙がおこなわれる情勢だ。

持永はこの選挙にどう対処するつもりだったのだろうか。古川は2006年12月に自民党への復党が認められ、次期選挙で公認されることは確実だ。もはや、持永に自民党からの出番はない。

持永はホームページの作成も途中で投げ出し、総選挙への参戦ををあきらめていたのではないか。度重なる選挙での落選は資金調達力や後援会の士気を低下させる。

超エリートの道を歩んできたがゆえに、いくら頭を下げてまわっても自分の思うがままにならない状況への苦悩は人一倍深い。家族と繰り出した沖縄の青い空と海を見ながら、最後に彼は何を考えていたのだろうか。

                         (敬称略)

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コメント

こちらの記事の訂正を求めます。

報道で確認されたかもしれませんが、息子さんを背負って遊んでいた最中の事故と見られています。
遺族を傷つけるいたずらな憶測はあなたの中で留めておくべきでは?

海はどんな事故も起こりうるのです。

 私も持永氏の事故死には疑問を持ちました。でも、家族のしかもわずか5歳の子どもと海水浴しているときに自殺ができるのでしょうか。とにかく、開成高校バスケットボール部で鍛えたことがある人が、浜からわずか10メートルの浅瀬でおぼれるというのも変な話しです。
 東国原知事も言っていましたが、彼は官僚としては優秀だが、政治家には向かない、彼の線の細さというか迫力のなさは私にもわかります。選挙には出馬せず官僚を続けていた方が幸せだったでしょう。

どうして、こういう時だけ警察発表そのまま書いている新聞記事を素直に信じるのでしょうか。事故死か自殺かは別として、inakamono さんが言うように、政治家の息子というだけで、向かない政治の世界に飛び込まざるを得なかった持永さんの悲運を感じます。

私は筆者を支持します。訂正は不要だと考えます。
持永氏は選挙に三度も立候補した公人同等の人間。不自然な死に方をすればジャーナリストして疑念を持つのは当たり前だと思います。「こちらの記事の訂正を求めます。」と横柄な発言をされてる方は記事になる週間文春や週間新潮にも必ず記事の訂正を求めてください。

もし自殺でなかったら、この記事の内容は本人にとってどれほど無念だろうと思います。他人から見れば死を選んでも不思議でないような窮地でも、そこで本人は死ぬ以上の気力を振り絞って必死で生きていたのかもしれない。そのような状況では、心臓などに変調をきたすほどのストレスだってあったかもしれない。死者に尊厳は無いのでしょうか。ジャーナリストの視点なら、死者の経歴からの憶測だけでなく自殺を疑うだけの具体的な論証が必要だと思う次第です。

確かに、そのような憶測ができなくもないでしょうが、ジャーナリズムを盾に取ったいい加減なコメントはご自分の立場を低めるのではないでしょうか。

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