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2008年8月18日 (月)

福田首相の豹変、雇用機構解体へ

内閣改造で行革相の首を切られた渡辺喜美はさぞかし悔しい思いをしているだろう。独立行政法人改革の“大物”釣り上げを新行革相、茂木敏充にさらわれたからだ。

17日のフジテレビ報道2001で、茂木が「雇用能力開発機構」の解体方針を明らかにした。福田首相の強い指示が今月13日、茂木に下されたのを受けての“宣言”だった。

首相の豹変ともいえる決断に、所管する厚労省に激震が走った。重要な天下り先の一つだからである。現在、理事長だけは民間企業出身者だが、5人の理事のうち3人は厚労省の天下り、1人は機構のプロパーだ。

雇用能力開発機構は失業者のための雇用保険を“食べて”生きている。平成13年、内閣官房の行革断行評議会は次のように機構の存在を「悪」として斬って捨てた。

「雇用保険からの交付が2,301億円もある。機構は失職者以外への融資や保養施設等の建設など本来の目的を逸脱して事業拡大している。雇用保険はその正当な持主である失業者へと全額返還されるべきであり、これ以上の中間搾取を許すべきではない。よって機構の即刻廃止、解体を提案する」
   
ところが、「悪」の機構は特殊法人から独立行政法人に名前を変えて温存され続けた。特殊法人としての機構は廃止したのだから行革断行評議会に従っている、というのが官僚の論理である。

445億円の雇用保険料で建設したスパウザ小田原を8億5千万円で小田原市に売却したのは、機構の「公費巨額無駄遣い」のごく一例に過ぎない。   

581億円を投じて建設した「私のしごと館」は莫大な赤字を毎年垂れ流し、職業訓練指導員の養成を目的とする「職業能力開発総合大学校」も、社会に大きな役割を果たしているとは思えない。

だからこそ渡辺は行革相として報道陣を引きつれ各施設に乗り込み、パフォーマンスを繰り返すことによって国民を味方につけ、官邸を動かそうとしたのだ。

しかし、行革相在任中、福田首相も町村官房長官も冷ややかだった。全府省の事務次官を仕切る官僚トップの二橋正弘官房副長官がガッチリと官邸を封じ込めていたからだ。

内閣改造で閣外に出された渡辺は、新内閣の顔ぶれを「昔懐かしい煮込みうどん内閣」と皮肉ったが、逆に二橋の影響を受けやすい福田首相は渡辺に手柄を立てさせないよう、ネタ出しを遅らせたとも思える。

安倍晋三色の強い渡辺は、もともと二橋正弘官房副長官から好ましく思われていない。二橋は小泉政権でも官房副長官をつとめたが、公務員改革を旗印にする安倍に放り出されたあと、福田首相に呼び戻された人物だ。

昨年、渡辺が取り組んだ独法改革は二橋によって骨抜きにされた。数の上では101法人を86に減らすことになったが、雇用能力開発機構や都市再生機構など肝心なものについては、結論先送りというお役所的な手法がまかり通った。

内閣改造の少し前に、舛添厚労相がわざわざ京都の「私のしごと館」を視察して「これは必要な施設だと思う」などと公言し、渡辺行革相との閣内不一致を浮き彫りにした。

このとき、福田政権に雇用能力開発機構の改革意欲はないと見えたが、麻生太郎幹事長の誕生が政権内のバランスを微妙に変化させている。

福田首相にしてみれば、総選挙を前に窮地に立つ自民党のため、麻生を幹事長に据えて党のイメチェンをはかるという、森喜朗の意見を受け入れたものの、やはり総理としての面子がある。麻生が表に出ようとすればするほど、福田は自らの実績づくりに励むこととなる。

このところ矢継ぎ早に新閣僚に指示を出して、改造内閣の仕事ぶりをアピールするのに懸命だ。

福田は麻生への「禅譲」を求める党内の空気に配慮しつつ、できることなら自らの手で政権を再浮揚させ、首相として解散権を行使できる情勢に持ち込みたいはずだ。ひそかなる野心が最近の福田首相から感じられる。

麻生主導で景気対策に大型補正予算を組むだけでは、従来の自民党政治に戻ったという印象を強めるだけだ。雇用能力開発機構の解体は、「改革」もおろそかにしていない「福田政治」のイメージを打ち出すのに好都合と考えたのではないか。

おりしも、17日のテレビ朝日の番組で、森喜朗が「ポスト福田に麻生さんを考えている」と白状した。森が麻生に幹事長就任を持ちかけたとき、暗黙のうちに「次はあんただ。応援するからな」というニュアンスをその言葉に匂わせていたことは疑う余地がない。

この調子では総理大臣の解散権の行使にも、森が「これはあなたの決めることだが」とやんわり口を出しそうな気配である。一見冷静に見える福田の心中はおだやかならざるものがあるに違いない。

今後しばらく、麻生と福田の行動や発言を注意深く観察していけば、政局の真の輪郭がくっきりとあぶりだされてくるだろう。

                 (敬称略)


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8月頃から拝見させていただいてます。毎回、テレビや新聞では語られない日本の政治の真の動きを勉強させてもらっています。

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