« フジモリを支えた女性ホテルオーナーにたかる外務官僚 | トップページ | あらためて問う、原爆投下の目的 »

2008年8月 5日 (火)

森喜朗と麻生太郎、真夏の「怪談」

福田内閣改造後の内閣支持率は、森喜朗と麻生太郎の想定内だったのではないか。最も低い朝日が±ゼロの24%、最も高い読売が+14.7の41.3%。このブレに大した意味はないだろう。

改造後に多少、支持率が上がっても、また元に戻る。人は“飽きる”からだ。政治家も、商売人も、人気を維持しようとすれば飽きない(商い)方策を考え続けねばならない。

改造後、政局の主役は、森喜朗と麻生太郎に移った。4日、福田首相が与謝野馨、中川秀直という路線対立の主役を相次いで官邸に呼び、報道陣の注意をひきつけていたころ、森喜朗は麻生太郎と会っていた。20分間の短い会談だった。

「福田で選挙はできない」。森の考えは、改造後の内閣支持率上昇で揺らぐことはないだろう。彼は同じ派閥の中川秀直をさしおいてでも、麻生を選んだ。いつ、いかなるカタチで、福田の退陣を促し、麻生太郎政権の誕生につなげるか。それが、政敵・小沢一郎に政権を渡さないために、現在自民党が取りうる唯一の方策だと思っているに違いない。

森は首相時代、福田など足元にも及ばない「低支持率」宰相だった。座談の名手だが、口が軽いため、演説では余計なことを言って批判を浴びることがしばしばあった。2001年2月10日、高校生の練習船「えひめ丸」が、アメリカ海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没したとき、連絡を受けながらゴルフを続けたことが命取りになった。

その年の7月に参院選が予定されていた。森は3月末、ロシアでプーチン大統領と会ったさい「私はこれから日本に帰って1週間か10日ほどで首相を辞める」と話した。自分が首相のままでは参院選を戦えないと自覚していたからだ。実際に退陣したのは4月26日のことだった。

退陣の前から、森の胸中には、小泉政権へのシナリオが描かれていた。朝日新聞が刊行した「90年代の証言」シリーズで、森はこのように語っている。

「参院選の前にパッと退陣する。もちろん、僕の頭には後継者として小泉さんを考えていた」

そして、退陣後の総裁選を前に、橋本龍太郎が派閥幹部を集め「もういっぺんやらせてほしい」といったが、みんな黙っていたという青木幹雄の後日談を披露。「僕はこれで勝てると思った。橋本派には勝とうという気力がないということだからね」

小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」とぶち上げて総裁選に勝ち、小泉内閣が誕生したのは周知の通り。支持率は80%をこえ、参議院議員選挙で自民党は大勝した。

森は01年参院選前の自分と福田を重ね合わせているに違いない。福田は念願の洞爺湖サミットもすませた。人柄がよくても優柔不断とみられる状況はこれから先も変わらない。福田首相のもとで選挙できる状況に持っていくことはきわめて難しい。しかも、派内を見渡すと、信頼を寄せてきた中川秀直はスタンドプレーが目立ち、国民的人気がいまひとつだ。

ならば、積極的に麻生政権誕生を後押しし、影響力を行使するほうが得策だと考えているのではないだろうか。

麻生と20分間の短い会談を終えた森は、その夜、都内の料亭で二人の政治家と会食した。改造内閣で財務相になった伊吹文明と鈴木宗男だ。鈴木は森に次のような質問をした。「福田さんが麻生さんに幹事長就任を要請したとき、福田さん自らの手で解散はしないと伝えたというが、本当ですか」

ベタ記事ながら、日経新聞が報じていることだ。森はこう答えたという。「いろんなやり取りがあったとしても、最終的には福田さんの判断だ」。

筆者は、“密約説”の否定をしないこの言葉に森の真意がしっかりと埋め込まれていると感じる。

森の甘言に乗って、麻生は泥舟を漕がされはじめた。森のような「足して二で割る」自民党政治では、日本全体が巨大な泥舟になることが避けられない。

森が後継に選び、根源的な手術をして日本を改造してくれるかと国民に幻想を抱かせた小泉純一郎は、劇の見せ場が終わると、さっさと花道を去って逃亡した。次に、森が繰り出した若手のホープ、安倍晋三は稚拙な政権運営で自壊した。さらに、福田は衆参ねじれ状況のなかで立ち往生し、優柔不断ぶりをさらけ出している。

国家のビジョンを国民に明確に示すことができず、選挙に勝つための協同組合をつくることばかりに腐心する者は政治の舞台から去るべきだ。

何もしないのも仕事のうち。この言葉を元首相、森喜朗に献上したい。

                  (敬称略)

Blogbanner2人気ブログランキングへ

« フジモリを支えた女性ホテルオーナーにたかる外務官僚 | トップページ | あらためて問う、原爆投下の目的 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/335692/22795329

この記事へのトラックバック一覧です: 森喜朗と麻生太郎、真夏の「怪談」:

» 再開66回目 理解できない人 [ネトウヨの呟き 〜気ままにつれづれ〜]
 よくよく理解できない人である。 「拉致家族を正しい方向に導く人が現れないものか」 http://www.amakiblog.com/archives/2008/07/31/#001041  うーん。  人気ブログランキングを眺めると、各ブログの記事タイトルが浮かんでるものがある。  で、気になるタイトルがあるとチェックしたりする。  これもその一つなんだけど・・・・・・。  いったい何が言いたいのか理解できなかった。  誘拐されて何十年も身柄を拘束される苦痛を被害者に強いるのだろうか?... [続きを読む]

« フジモリを支えた女性ホテルオーナーにたかる外務官僚 | トップページ | あらためて問う、原爆投下の目的 »

フォト

1日1回応援クリックお願いします↓

過去の全ての記事

2016年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

microad

無料ブログはココログ