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2008年9月30日 (火)

世界恐慌の不安高まる中、選挙しか頭にない内向き所信表明

「ドル市場の流動性はほぼ枯渇した」。日銀の白川総裁が29日深夜の緊急会議のあとに語った言葉は世界を覆うマネークライシスの深刻さを物語った。

日米欧の中央銀行10行が米連邦準備理事会(FRB)からドルを調達し、自国に供給する額を大幅に増やすことになった。

そうでもしなければ、ドル資金の血流がストップし、金融システムが壊死するということだ。

米国では最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金を不良資産買い上げに注ぎこむという、米自由主義経済の原則に反する窮余の一策「金融安定化法案」が下院で否決された。

背景には「なぜ税金でウォール街の金持ちを助けるんだ」という国民の反発がある。怪しげな金融商品でしこたま儲けてきた連中が滅びるのは自業自得ではないのか。そのツケをどうしてまわされなくてはいけないのだ。そういう一般大衆の気持ちに下院が逆らうことはできなかった。

米国の短期金融市場はすでに崩壊同然の状態だという。株式市場は底なしの下落が続き、大恐慌前夜の空気が広がっている。恐慌は経済理論の範疇を超えた、極めて心理的なものだ。不安の連鎖が取り付け騒ぎに発展すれば、預金量の10%もない準備金では顧客への払い戻しに対応のしようがない。

銀行どうしが互いに信用できないのが今のアメリカの実態だ。ドル資金枯渇の影響は、産業全体におよび、資金繰り悪化による黒字倒産が続出する。

これを書いている30日午前9時47分における日経平均株価は前日比552円安の1万1191円だ。米経済の悪化が、日本経済の先行きに大きな不安を投げかけている証拠である。

日本でも、上場不動産関連企業が相次いで破綻しているが、これはサブプライム危機により不動産価格の下落が続き、金融機関からの融資枠が絞られたためだ。日本でも資金繰り倒産の連鎖がすでに始まっている。

不動産業だけではない。さまざまな業種で倒産が急増している。顧客が多額の料金を先払いする業種では、顧客の受ける被害が甚大だ。

先週金曜日の午後、大阪梅田の著名なビルにある海外留学仲介大手「ゲートウエイ21」で騒ぎが起こった。

通路にまで大きな声が響いていた。「これでは詐欺じゃないか、カネを返せ」。12億9000万円の負債をかかえ破産申し立てをするというウワサを聞きつけ、すでに前払いしていた留学予定者が返金を求めるためにやってきたのだ。

その日の午前中まで、平常どおり留学前の英会話授業がおこなわれていた。午後からの異変はあっという間に、受講生に広がった。コースによって料金は違うが、なかには300万円を前払いしたばかりだという人もいる。

破産申し立てにより、前払い金の総額9億5000万円が返還されない恐れが出てきた。留学に将来の夢を託していた若者も多い。「人生設計を狂わされた」などという悲憤慷慨の声を今朝の朝刊各紙は伝えている。

さて、昨日、わが国会では麻生首相の所信表明演説がおこなわれた。日本はこの世界的な金融危機にどう対処するのか。注意深く耳を傾けた。

日本経済の立て直しについて3段階で臨むとし、当面の景気対策に言及した。その中身は次のようなものだ。

まず「政府・与党には安心安全のための緊急総合対策があります」と述べ、その内容を「農林水産業、中小零細企業、雇用や医療に不安を感じる人々に安心をもたらす」と説明した。そのあと、公明党が強く提案した「定額減税」の実施を具体的に明言した。

金融危機に関しては「米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、必要に応じ、さらなる対応も弾力的におこなう」という考えを表明したが、たったこれだけである。

結局、麻生首相の具体的な経済対策は「定額減税」だけがはっきり見えたが、景気対策を盛り込んだ補正予算の柱となる内容やそのネライについての説明はなかった。

そればかりか、いきなり「民主党に要請します。緊急総合対策実施の裏づけとなる補正予算の成立こそは焦眉の急であります。のめない点があるなら代表質問でお示しいただきたい」ときた。

そもそも所信表明演説は国民に向かい、政策のビジョンを示すものである。この日、国会に提出されたばかりの補正予算の中身は、一般国民にまだ公開されていない。ならば、その予算の骨格をまず国民に説明することに心を砕くべきである。

その最も大事な表明を省いたまま、民主党の代表質問に言及するのは、「国会村」の内向きのやりとりであり、首相の心に物言わぬ大多数の国民が存在しているとは思えない。

麻生首相の「代表質問的所信表明」に対し、民主党の小沢代表は「所信表明的代表質問」で自らの考えを述べるという。どちらがより具体的に日本の危機を救う内容なのか、よく吟味しなければならない。

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» 麻生総理 所信表明 演説 [王様の耳はロバの耳]
民主は「政局第一」、対案を=経済再建へ3段階−強く明るい日本目指す・首相所信(時事通信) - goo ニュース 27日には「所信表明演説の原稿が流出?」と言う話がありました。爺には真贋が判りません。今日は午前中からウエブ上の新聞各紙に「演説骨子」という形で午後の演説内容が載っていました。 {/hiyob_hat/} 夕刊紙によれば麻生総理は所信表明演説と言うより: 「民主党への5つの問いかけに特徴があった」様です。 その1:国会での合意形成のルール作り その2:補正予算案への賛否、対案提示の場合は... [続きを読む]

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