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2008年9月24日 (水)

三菱UFJのモルガン出資に漂う不安感

バクチで大儲けしてカネを使いまくっていた遊び人が、一瞬のうちに財産を失って、真面目にコツコツ貯金してきたお人好しに目をつける。

「カネ出してくれたら、儲けさせてあげるし、バクチの仕方も教えるよ」

これまで、遊び人の派手な稼ぎっぷりを羨みつつ、貯まったカネの使い道を思案していたお人好しは、躊躇しながらも、「今がチャンス」とばかり清水の舞台を飛び降りた。

三菱UFJがモルガン・スタンレーに9000億円にのぼる出資を決めたのは、失礼ながらそんな風に見えなくもない。

無から有をつくり出す金融工学を駆使し、全世界の一般投資家からカネを吸い上げてきたウォール街。そのおかげで、米経済は新たな基幹産業の育成を怠っても繁栄を続け、国民は借金さえいとわず飽くなき消費を謳歌した。

その消費大国への輸出で好況になった日本だが、“将来不安”から貯蓄に向かう流れは変わらず、1500兆円の個人金融資産がありながら国内景気はパッとしない。

この閉塞状況打開のため、技術立国の強みを生かした新しい産業の創出を求める機運がある一方、金融業界には「製造業は新興国に永遠に追われる宿命にあり高成長の原動力にならない」(日経)という意見が強い。

米国に大きく遅れをとってきた投資銀行分野への本格的参入の絶好のチャンスとみて、三菱UFJはリスク覚悟でモルガン・スタンレーの出資要請に応じた。

いまのところ新聞各紙は、野村のリーマン欧州・中東・アジア部門の買収と併せ、日本勢の世界金融再編参入を評価する論調が強い。

ただ、銀行に資金を提供している預金者の側から見ると、まことに危なっかしいのも事実だ。低所得者向けの高リスクローン債権を混ぜた詐術のような証券化商品に投資し、自業自得の危機に陥った米金融界に出資することにどれだけのメリットがあるのか。いったん信用を失った投資銀行が復活するにはかなりの時間を要するだろう。

三菱UFJはモルガン・スタンレーの20%の株を所有して筆頭株主になっても、取締役を送り込むだけで、実質的に経営に参画するわけではないという。20%の出資ならモルガンは三菱UFJの持分法適用会社となり、その収益は三菱UFJの連結決算に反映されるが、あくまで決算書上の数字に過ぎない。

三菱UFJがこの巨額出資で大きな実りを得るためには、モルガンの高度な金融技術を人材交流を通して自社に導入することが必要だ。そうでなければ、多くの日本人から集めた預金がモルガンの当面の資金繰りに使われる意味しかないだろう。

日本の国民はすでに痛い目を経験している。せっせと銀行に預金したカネが株や不動産関連の業者に貸し込まれ、バブル崩壊で不良債権化。そのあげく、汗水たらして働いてお国に納めた税金までが、金融機関救済のために投入された。

結局、最終的には税金を分捕る人々が金持ちになり、真面目にコツコツ預金し、低利の利息に甘んじながら、正直に納税する者が報われない。

先日のブログにも書いたが、三菱UFJは米国会計基準による08年3月決算で5424億円の赤字を出している。その原因は有価証券の含み損1兆3730億円だ。

傷が浅いといわれる日本のメガバンクにも、世界同時不況の影はこの3月決算の段階ですでに忍び寄っていたのだ。

野村総研のリチャード・クー主席研究員は「日本のサラリーマン世界と投資銀行では価値観が違う。欧米勢をうまくコントロールできないのではないか」(産経)と懸念する。

三菱UFJはよほど戦略的に立ち回らないと、ただ利用されるだけに終わるだろう。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

三菱UFJはモルガンスタンレーにしてやられるだろうし。そのつけは金融と言えば預金と住宅ローンしか知らない無知で善良な日本の大衆に回されるだろう、というご意見に同感です。

国際金融というあこぎな世界は昔からアングロサクソンの独壇場で、ドイツやフランスというヨーロッパの大陸国でも手に負えない、まして職人国家ドイツと農民国家フランスを足して2で割ったような日本なんかの知恵と力の到底及ぶところではありません。

サラ金のアコムを子会社にしたり、モルガンスタンレーを持分会社にしたり三菱の畔柳さんは何を考えているんだろうか、バブル期に尾上縫さんという料亭の女将に騙され興銀をつぶしてしまった黒沢さんという頭取がいたがふと不吉な相似を覚えないでもありませんね。

短時間で大量に移動でき、しかも限界効用逓減の法則の働かないマネーという特殊な資本財は本来厳密な規制下と統制下におくべきもの、剣道好きの橋本首相が自由化を進めオペラ好きの小泉首相が本当に野放しにしてしまったので日本の金融はオペラの蝶々夫人になりそうな気配。かつてライフストアの清水信次さんが北海道開発に貢献した拓銀はつぶすべきでない、そもそも護送船団方式のどこが悪いんだと言ったのを思い出させられます。

今日3日の朝日新聞によると今年1月から9月間の
株値下がり率は新興国が50%近くでアメリカが最も小さい数字になっているがそんな馬鹿なことがあるのですね。世界中を犠牲にしておいて元凶が殆ど無傷といったような感じでアメリカに世界中が翻弄されているのでしょうか。今後の国際社会のあり方について十分考えるべきです。また排出権取引とか訳の分からない金融商品を作ろうとしていますが良いのでしょうか。虚業の世界もいい加減にして実業で頑張る世の中が良いと思います。

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