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2008年9月 5日 (金)

“エルメス帝国主義”に暗雲

株や不動産価格の下落とともに急ブレーキがかかったニッポンの個人消費。

大衆商品はとっくに低落していたが、頼みの高級品市場に陰りが見え、「帝国主義的快進撃」を誇った海外高級ブランド品の売れ行きにも暗雲が漂っている。

最近、話題になっているのが「エルメス」の不振だ。日経新聞によると、日本における1~6月期の売上高は、前年比9.1%減少している。

読売新聞によると、一般客は予約できず「VIP客でも2~3年待ちがざら」といわれた高級バッグ「バーキン」が、大阪市内のブランド店で6月の数日間、陳列されたまま売れ残ったという。

海外高級ブランド品は、ここ2、3年で平均価格が約20%上昇して百貨店の売上を支えていた。「ブランド信仰」はお金持ちはもちろん、低所得の若者にまで広がり、勢いはとどまるところを知らないように見えた。

ところが、エルメスに起きた一つの事件が“異変”を告げた。2004年にエルメスジャポン社の正社員試験に合格した女性が、嘱託社員として6ヶ月契約を繰り返され、08年9月以降の契約は打ち切る旨を通告された。このため、女性は「正社員の地位確認」などを求めて東京地裁に提訴した。

その女性によると、契約打ち切りの理由としてエルメスジャポンは「業績悪化」を挙げたという。エルメス側はこの件について明確な回答を避けているが、売上の急減速への戸惑いは隠せない。

エルメスは、徹底した「類似品」の排除作戦でも知られる。例えば、ネット上で「バーキン」や「ケリー」バッグに少しでも似た商品やネーミングを見つけると、代理人の弁護士がその業者に事前警告なしに、いきなり「内容証明文書」を送りつける。「賠償金を払え、さもなくば不正競争防止法違反で訴訟だ」。

零細業者に悪意があろうがなかろうがお構いなしだ。「巨大帝国」からの冷徹な脅しにびびった零細業者は数十万円を支払ってでも、訴訟沙汰という難を逃れようとする。

そして、エルメスは今年5月、ついに日本政府を動かして法的な大勝利を勝ち取った。税関が「エルメス」の形態をまねたバッグの輸入を差し止めたのである。

これにより、例えば海外でエルメスのデザインを知らない単なる旅行者が模倣品を買って帰国した場合、税関で没収されることになる。

「バーキン」や「ケリー」はベルトなどに特徴があるエルメスの看板商品だ。正規品の価格は安いもので80万円、高いものでは1千万円のものもある。もちろん、筆者などとは縁遠い代物だ。

バーキンはジェーン・バーキン、ケリーはグレース・ケリーと、いずれも女優の名前から取った商標であって、映画ファンの筆者にすれば、世界が共有すべき名前をバッグに冠していること自体に疑問を感じる。

エルメス商品の有する伝統と品質は認めるが、「そこのけそこのけエルメスが通る」という驕りと、訴訟を武器にした「帝国主義的市場拡大」は、少なくとも世界的大競争の中で沈みつつある日本の零細小売業者の心を常に打ち砕いてきた。

高級ブランドは世界の流行のモトを発信し、大衆商品はその影響を受けてつくられる。ロゴやデザインをそっくり真似た商品はもちろんニセブランド商品として処罰されるべきだが、流行を一部取り入れた商品作りが許されなければ、庶民のファッションマーケットなど成り立たない。

少子高齢化と年金不信で将来が展望できないこの国で、学生やOLがバーキンを手にし、カルチェの時計を身につけるという風潮はやはり異常だ。

この消費不況で何がしかの光明を期待するとしたら、「高級ブランド信仰」へと女性誌などに洗脳された人々が、厳しい現実で目をさますことだろう。


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コメント

業界の裏話、興味深く読ませていただきました
文末の嘆きも同感するところです

残念ながら、ご婦人方はブランドバッグを持ち続けるでしょう

バカは利口になることはないですからね

エルメスはフールトゥシリーズ以来、「安っぽい」イメージがつきまとっていますね。
バーキンやケリーを簡単に買える層が逃げているんでしょう。
シャネルとエルメスはあくまでも「お高く」とまっているべきでした。(シャネルは従前のままでしょうが。)
今回の記事はブランド好きの人の心が全く分かっていないのでは?
という疑問がぬぐえない。

クレイジーパパ様

はじめまして。
よくぞ言ってくれました!!!
胸がスカッとしました。
理路整然としています。納得できます。

私も、クレイジー様の仰るように
エルメスジャポンのやっていることは
もう時代遅れだと思っています。
なにしろフランス本国との価額差が異常です。

大企業=カネを持っているところの吠える
要望は通り易いのは世の常です。
訴訟脅しやりたい放題、だったのですね。
そして、税関まで根回しですか。

同業者への圧力はもとより
顧客にも、高額購入する人しない人で
冷酷なセグメントを切っているのも事実です。

年間購入額が高額な顧客には、
毎年暮れに、ノベルティ(小物)を送付したり
ノエルパーティーに招待したりしているようです。

低所得層が気張りまくって
ひとつBAGを買ったとしても
ノベルティグッズ送付やパーティーの招待は難しい。
にもかかわらず、その分の経費をちゃっかり搾取されている。
そういうことに気づかずに
「わーーーーいHERMESゲット〜」などと
喜んでいるのは、ある意味幸せでしょうけど
ハッキリ言って、騙されてると思います。
エルメスジャポンに。

エルメス商品が、日本では異常に高いのは
ズバリ上記のイベント経費や、異常なまでに
店舗数を増やしすぎて、雇用しすぎた従業員の
人件費や、地代がONされているのが
容易に推測できます(販促費)。
そういう、製品原価の流れを読み切れない人たちは
ちょこっとブランドの匂いを嗅がされて
マスコミの太鼓持ち記事に踊らされて
何の疑問も持たずに、憧れのHERMESをゲット
などと思っているのでしょう。

ブランド品を舶来品舶来品などといって
こぞって、高額でも手を出す時代はもう
既に終わっているのではないでしょうか。

エルメス帝国も、調子にのって
振り上げた拳の落としどころに困ってくるのでは
ないでしょうか。

昨年は、ベルサーチも日本撤退です。
政権交代も相まって、世界の日本を見る目が
変わってきています。
欧米の人達は、わざわざ日本のHERMESで買い物を
しません。(本国内外価額を知っているから)

私も、カルティエやエルメスが好きで
凝っている(ハマっている)時期がありましたが
リーマンショック以降に目が覚めました。

筆者の仰る趣旨がよくわかります。

ブランドというもので、階級(お金持ちか否か)を
誇示する時代は終わってきています。
カードの借り入れ基準についても変化してきています。
分不相応な買い物が出来なくなってきます。
ボーナス一括払いで、支払い先延ばしして
ひとつ100万円もするBAGを買うのが
アホだと思います。

ともすれば、店舗数を絞り込み
即金で買える顧客だけを相手にするという
業態にしないと、高熱費や地代、イベント代
などで、クビが絞まっていくことでしょう。

私も、高みの見物でウォッチしている一人です。
この記事をもっと早く見つけたかったと思います。

ブランド力(バッグの蒐集を増やす)ではなく
自分力(会社がつぶれても食べていける)を
鍛えないといけないということを
改めて痛感した次第です。

本当にありがとうございました。

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