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2008年10月 8日 (水)

道路予算削減に麻生首相は消極姿勢

物質の最小単位「素粒子」まで突き詰めてこそ、大宇宙の謎に迫ることができる。ノーベル賞受賞が決まった日本の三人の物理学者は、知的好奇心のおもむくまま頭脳を働かせ続け、物の根源を解き明かした。

科学の哲人たちに政治が学ぶべきことはないのだろうか。本質を追求せよといくら力説してみても、政治家は孤高を恐れ、徒党を組む。自他を問わずさまざまな欲望の渦の中で、脳の働くヒマもない超多忙なセンセイたちにつける良知の薬は今のところなさそうだ。

さて、衆院予算委の二日目は、これからの道路建設について麻生首相がどう考えているかをうかがい知ることのできるやり取りがあった。

今年5月13日、福田政権は「平成21年度から道路特定財源を廃止し、一般財源化したうえで、必要な道路は整備する」と閣議決定した。何にでも使える財源にするが「必要な道路はつくる」というのがクセモノで、下手をすれば、名前が変わるだけとなる。「必要な道路」の判断基準は明確ではなく、過大な要求を続ける国交省や道路族議員に対する官邸の考えや対応しだいでどうにでもなる。

したがって、「必要と判断する」道路をどれくらい減らすつもりなのか、麻生首相はざっくりとしたイメージくらい提示するべきだろう。それが総選挙をひかえた国民にとって、投票の判断材料の一つになる。

民主党の前原誠司がその点を追及した。国交省の21年度予算の概算要求は、20年度当初予算の1.11倍の3兆904億円を計上している。

前原 「一般財源化して少子化や環境対策、医療、福祉などに予算を大幅に振り向けるのかと思ったら、国交省はそのほとんどを道路に要求している。どういうことか」

麻生 「概算基準に従って要求官庁が要求したに過ぎないので、今から12月にかけての予算編成の過程で中川大臣なり金子大臣のところで査定されるべきものだ」

前原 「道路予算をどれくらい削るのか、総理の決意を聞きたい」

麻生 「どれくらいかと額まで今の段階でいえるほどこの問題について知識があるわけではない。細目は財務大臣に聞いてもらったほうが正確だ」

前原 「人口減少、少子高齢化が進むなかで、革命的な予算の組み換えをやっていかねばならないときだ。総理として半分に減らすのか3分の1にするのか、このままでいいのか、大きな方向の話を聞きたい」

麻生 「予算編成権は内閣にあります。それを第一にきちんと頭に入れて置いていただいたい。どのような査定をするかというのは予算編成権を持っている政府で決めさせていただく」

前原 「あきれた答弁だ。さらっといわれること自体、麻生さんの問題意識が低すぎる」

麻生 「問題をよく理解しているからさらっと言えるんだと私自身はそう思っていますけどねえ。ごじゃごじゃごじゃごじゃ悩んでいませんから」

以上の質疑が物語るのは、麻生首相がリーダーシップを発揮して道路予算を削り、福祉や医療などにまわす、という考えをほとんど持っていないということだ。

ローマ帝国は道をつくりすぎて滅亡したといわれる。東大名誉教授、小林一輔氏は、著書「コンクリートの文明誌」で「人類史上初めてコンクリートの巨大建造物を手がけたのはローマ人だったが、造りすぎに伴う膨大な管理費用によって財政は破綻した」と書いている。その主なものは道路で、東大名誉教授、弓削達氏(故人)によると、アッピア街道を手始めに372本、85,000kmにおよぶ幹線道路を建設したという。

道路は建設されて10年もすれば修理が必要になる。道路や橋や施設を建造し続けると、次から次へと膨大な修理代を必要とし、さらに国家財政を圧迫して、国民の命に関わる食料や医療、福祉におカネがまわらなくなるだろう。今でも、全国の道路を維持管理するのに2兆円以上を要しているのだ。

道路やハコモノ建設の予算を大幅に他の分野に振り分け、土木工事に従事していた人々が、これからの成長産業になるべき農業、医療、介護などの分野に進出できる仕組みをつくっていく。そういうビジョンを麻生首相が示してくれたら、この国の将来に多少なりとも安心感が持てるだろう。 (敬称略)

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コメント

「ローマ帝国は道をつくりすぎて滅亡した。」と同じ道を進んでいるんだと思います。道路や都市の設備を維持するだけで、次の世代の税収が使われてしまうのだと想像できてしまいますね。

ローマ帝国は道を作りすぎて滅亡した?
どなたの言葉かわかりませんが、かなり極端な考え方ですね。
ローマ帝国は、広大な領土の各地に割拠した軍閥による帝位争いと、民族の乱入によって衰退したはずです。しかし、その歴史は数百年に及び、ビザンツ帝国を含めれば千年の歴史を刻んでいます。西ローマ帝国にしても、形骸化した神聖ローマ帝国として続きました。そして、彼らの作った道路は今も形を変えて存続しています。
道路予算削減に反対する意思はありませんが、ローマ帝国の滅亡と今の日本の道路予算削減とは、次元の違う話です。

私は,このところ毎日,この深読みの考察を読ませて頂いております鈴木と言います。
しかし,今日だけは,とんでもない間違いが気になりましたので,メールを思い立ちました。
私は,道路エンジニアでした。それで,以下の文章には大反対なのです。
「ローマ帝国は道をつくりすぎて滅亡した。」
<この文の証拠はありますか?実際,ローマ帝国は道をつくり続けたのは最盛期までです。衰亡期の最大の原因とはなりえません。
ローマの道作りは,軍隊が造ったのでアーミイエンジニアです。(その反対語としては,現在,土木工学をシビルエンジニアと訳しております)また,現代のように,国家財政で造ったのではありません。ローマ時代は,アッピア街道と呼ばれているように個人が造るシステムだったのですよ。だから,国家財政を圧迫したわけではありません>
「道路は建設されて10年もすれば修理が必要になる。」
<この文は,現在の日本とその輸入元のアメリカでのことです。
ローマ帝国のエンジニアは,”百年もつ”と豪語したと伝えられるように,現代より立派で合理的な道路を造っていたのです。舗装厚さも,現代よりも立派で(高価),厚く,特に,現代日本と違って舗装や敷石を壊す街路樹などは,決して植えなかったのです。>
「道路や橋や施設を建造し続けると、次から次へと膨大な修理代を必要とし、」
<ここは,その通りです。河川も含めて,維持管理が大切なことは,中国の二千年前から言われていることです。現在のエンジニアは,少し忘れているようです。>
「さらに国家財政を圧迫して、国民の命に関わる食料や医療、福祉におカネがまわらなくなるだろう。今でも、全国の道路を維持管理するのに2兆円以上を要しているのだ。」
<現在でも河川などの災害被害が減らないのは,維持管理をさぼっているからで,これも枕を高くして眠れない原因の一つです>
「道路やハコモノ建設の予算を大幅に他の分野に振り分け、土木工事に従事していた人々が、これからの成長産業になるべき農業、医療、介護などの分野に進出できる仕組みをつくっていく。」
<単なる単純労働者についてなら,このようなことを,口ではかんたんに言えかもしれないが,農業、林業,漁業,医療などで食っていけるほどのプロには,そうそう短期間でなるのは無理だと思っています。
医者を増やすと言って,来年,医学部の定員を増やしても,効果が望めるのは8年後位になるでしょう。
クレージーパパさんは,ご自身のこととして,来年から,すぐさま米の収穫に成功できると考えられますか?質問してみます。>
そういうビジョンを麻生首相が示してくれたら、この国の将来に多少なりとも安心感が持てるだろう。<?>

特に統計的な裏付けがある訳ではありませんが、日本は道路や箱物建設に従事する人が多過ぎるように思います。図面を引いたり構造を計算したり、或いは現場で建設の指揮を取るような技術者や職人はともかく、ブルドーザーやパワーショベルを操作したり、ドリルを使ったりする単純労働は、特に訓練や知識・経験が求められないこともあり、なり手に事欠かないと思います。これが為に公共工事予算を抑制した長野県では、土建業者がかなり淘汰されたと聞きます。この意味に於いて、道路や箱物建設に従事する人を他の産業に回すべきという筆者の見解に賛成です(もっとも、他の方々がコメントしているように、ローマ帝国の道路建設に因る国家衰亡云々という安直な引き合いには呆れますが)

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